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予定納税の通知が来た!これは何?分割納付の仕組みと計算方法

2026年1月20日

「6月になったら税務署から分厚い封筒が届いた…」「『予定納税』って何?税金は確定申告で払ったはずじゃ…」「今年は売上が下がって払えないかも。どうしよう?」

こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。毎年6月頃、個人事業主の方をざわつかせるのが、この「予定納税」の通知です。突然の支払通知に驚いたり、資金繰りに頭を抱えたりする方も少なくありません。

逆に、「周りには届いているのに自分には来ない。大丈夫かな?」と不安になる方もいらっしゃいます。

この記事では、予定納税の仕組みから計算方法、そして資金繰りが厳しい場合の救済措置である「減額申請」の手順まで、専門家の視点からわかりやすく解説します。
「通知書をなくした」「e-Taxで確認したい」といったよくあるトラブルの対処法も網羅していますので、これを読めば予定納税への不安はすべて解消できます。

6月に届く「予定納税」の通知とは?驚かなくて大丈夫!

まず、予定納税とは一体何なのか、基本的な仕組みを理解しましょう。決してペナルティや追加徴収ではないので、安心してください。

税金の「前払い」制度。ペナルティや追加徴収ではない

予定納税とは、その年の所得税の一部をあらかじめ「前払い」する制度です。
前年の所得税額が一定以上だった場合、「今年も同じくらい稼ぐだろう」という予測のもと、税金の一部を先に納めることが義務付けられています。

ここで前払いした金額は、翌年の確定申告の際に、本来支払うべき年間の税額から差し引かれます。つまり、トータルで支払う税金が増えるわけではなく、「まとめて払うか、分割で先に払うか」の違いだけです。一度に多額の税金を払う負担を分散させる効果もあります。

対象者は?「前年の申告納税額が15万円以上」の人が該当

すべての個人事業主に来るわけではありません。予定納税の対象となるのは、原則として前年分の「申告納税額」が15万円以上の方です。

  • 申告納税額とは: 確定申告書の第一表「(49)申告納税額」の欄にある金額です(源泉徴収税額を引いた後の、実際に自分で納付する税額)。

前年の税金が15万円未満だった方や、開業したばかりで前年の実績がない方には、予定納税の通知は届きません。
参照:No.2040 予定納税 | 国税庁

いくら払うの?計算方法と納付期限

では、具体的にいくら、いつまでに払えば良いのでしょうか。

金額は「前年の申告納税額」の3分の2(第1期・第2期で分割)

予定納税額は、前年の申告納税額(予定納税基準額)の約3分の2です。これを2回に分けて支払います。

  • 第1期分: 前年納税額の3分の1
  • 第2期分: 前年納税額の3分の1

合計で前年の税額の約66%を先に納めることになります。
※端数処理などの関係で、厳密には100円未満切り捨てなどで計算されます。

納付期限は年2回(7月と11月)。遅れると延滞税も

支払いのタイミングは年2回あります。

  • 第1期: 7月1日 ~ 7月31日
  • 第2期: 11月1日 ~ 11月30日

この期限を1日でも過ぎると、延滞税がかかってしまいます。
通知書が届いたら、すぐにカレンダーに書き込むか、忘れないうちに納付してしまうことをおすすめします。
振替納税(口座引き落とし)を利用している場合は、それぞれの期限の日に自動で引き落とされます。残高不足に注意しましょう。

通知書が「来ない」「紛失した」時のトラブル対処法

「予定納税の時期のはずなのに通知が来ない」「通知書をどこかにやってしまった」という場合の対処法です。

「通知書が来ない」原因 対象外、またはe-Tax「メッセージボックス」

通知書(「令和〇年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」)は、通常6月15日頃に発送されます。
届かない主な理由は以下の2つです。

  • 対象外である: 前年の申告納税額が15万円未満だった場合、通知は来ません。何もしなくてOKです。
  • e-Taxで受け取っている: 確定申告をe-Taxで行い、電子通知を希望している場合、紙の通知書は届きません。e-Taxの「メッセージボックス」を確認してください。見落としがちなので注意が必要です。

「納付書が入っていない」?振替納税の人は通知のみ届く

「通知書は来たけど、振込用紙(納付書)が入っていない!」と焦る方がいますが、これは正常です。
普段から所得税を「振替納税(口座引き落とし)」にしている場合、納付書は同封されません。通知書に記載された金額と振替日(通常は7月末と11月末)を確認し、口座にお金を用意しておけば大丈夫です。

「紛失した」場合:税務署で再発行が可能

納付書をなくしてしまった場合は、管轄の税務署に連絡すれば再発行してもらえます。
また、納付書がなくても、クレジットカード納付、スマホアプリ納付(PayPayなど)、e-Taxでのダイレクト納付など、キャッシュレス決済を使えばそのまま納付可能です。整理番号や納付区分番号がわかれば、コンビニ納付用のQRコードを自分で作成することもできます(国税庁「確定申告書等作成コーナー」から)。

今年の売上が減って払えない!「減額申請」を活用しよう

「今年は業績が悪化して、去年ほど利益が出ない」「廃業したから税金は下がるはず」
そんな時は、無理して高額な予定納税を払う必要はありません。「予定納税額の減額申請」という制度があります。

業績悪化、廃業、休業などの場合は減額が可能

以下のような理由で、今年の申告納税額が、通知された予定納税基準額(前年の額)よりも少なくなると見込まれる場合は、減額を申請できます。

  • 業績不振で所得が減る見込み
  • 廃業、休業、失業した
  • 災害や盗難にあった
  • 多額の医療費がかかった
  • 扶養親族が増えた

承認されれば、今年の予想税額に基づいた金額まで予定納税を減らす(あるいは0円にする)ことができます。

申請期限は7月15日(第1期)まで!手続きの流れ

減額申請には厳しい期限があります。

  • 第1期から減額したい場合: 7月1日 ~ 7月15日
  • 第2期のみ減額したい場合: 11月1日 ~ 11月15日

たった2週間しかありません。
「減額申請書」を作成し、売上が下がったことがわかる試算表などの資料を添付して税務署に提出する必要があります。
期限を過ぎると一切受け付けてもらえないため、売上が下がっている方は、通知が届いたらすぐに準備を始めましょう。
確定申告だけを税理士に依頼する場合の費用は?丸投げは可能?(※減額申請の作成も税理士に依頼できます)
参照:[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続 | 国税庁

確定申告での処理を忘れずに!二重払いを防ぐ

予定納税を支払ったら、翌年の確定申告で必ず「精算」を行います。

確定申告書で「既納付額」として差し引く

確定申告書には、「予定納税額(第1期分・第2期分)」を記入する欄があります。
ここに支払った合計額を記入することで、年間の確定税額から予定納税分が差し引かれ、残りの差額だけを納めることになります。

これを書き忘れると、税金の二重払いになってしまいます。クラウド会計ソフトなどを使えば自動計算されることが多いですが、自分でしっかり管理することが大切です。

払いすぎた場合は「還付金」として戻ってくる

計算の結果、年間の確定税額が予定納税ですでに払った金額よりも少なかった場合(業績が下がった場合など)は、払いすぎた分が「還付金」として銀行口座に戻ってきます。
「減額申請」が間に合わずに払ってしまった場合でも、確定申告をすれば最終的には戻ってくるので安心してください。ただし、戻ってくるのは数ヶ月先になるため、資金繰りには注意が必要です。
個人事業主の節税対策ベスト10 | 伸びている経営者が必ずやっているキャッシュ最大化術

「予定納税の仕組みと対処法」まとめ

  • 正体:前年の税額が15万円以上の場合に来る、税金の「前払い」制度。
  • 金額:前年の税額の約3分の2を、7月と11月の2回に分けて払う。
  • 来ない理由:対象外(15万円未満)か、e-Taxのメッセージボックスに届いている。
  • 払えない時:7月15日までに「減額申請」を出せば減らせる可能性がある。
  • 注意点:確定申告で「既納付額」として引くのを忘れないこと。

予定納税は、急に来ると焦りますが、仕組みさえ知っていれば怖くありません。
「今年はどれくらい税金がかかりそうか」を早めに予測し、減額申請が必要かどうかを判断すること。それが、賢い経営者の資金管理術です。

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「予定納税」に関するよくある質問

A.給与所得のみの会社員には、原則として来ません。給与から毎月源泉徴収されているためです。ただし、副業の雑所得や不動産所得、株の譲渡益などで確定申告をしており、その申告納税額が15万円以上になった場合は、会社員であっても予定納税の対象になります。

A.はい、e-Taxの利用開始時に「電子通知」を希望している場合(デフォルトで希望になっていることが多いです)、紙の通知書は郵送されず、e-Taxのメッセージボックスに通知が届きます。メールでお知らせが来る設定にしていないと見落とす可能性が高いので、6月になったら必ずe-Taxにログインして確認しましょう。

A.はい、可能です。「国税クレジットカードお支払サイト」からのカード納付や、PayPayなどのスマホアプリ納付、インターネットバンキング(Pay-easy)などが利用できます。納付書が手元になくても、通知書に記載された「整理番号」などの情報があれば納付可能です。

A.納付期限(7月31日、11月30日)を過ぎると、翌日から「延滞税」が発生します。さらに放置すると督促状が届き、最終的には財産の差し押さえなどの滞納処分を受ける可能性があります。払えない場合は無視せず、必ず税務署に相談するか、減額申請を検討してください。

A.基本的には来ません。予定納税は「前年の申告納税額」を基準にするため、前年が赤字で納税額が0円だった場合は、予定納税の基準額も0円となり、通知は届きません。

A.いいえ、ありません。予定納税は「前年の実績」に基づいて計算されるため、前年の実績がない開業1年目の方には発生しません。開業2年目の6月から通知が来る可能性があります。

A.予定納税自体が「年2回の分割払い」という性質のものですが、それをさらに分割することは原則できません。どうしても払えない場合は、減額申請を行うか、税務署の徴収担当部門に相談して「納税の猶予」などを申請する必要があります。

A.予定納税は所得税(個人の税金)の前払いなので、事業の経費にはなりません。事業用口座から支払った場合の勘定科目は「事業主貸」を使います。確定申告の経費欄には入れないよう注意してください。

A.税務署に「納税地の異動届出書」を提出していれば、新しい住所に届きます。提出していない場合や、引っ越し直後の場合は、旧住所に届く可能性があります。郵便局の転送サービスを利用するか、早めに異動届を提出しましょう。

A.はい、その通りです。正確には「予定納税基準額(前年の納税額)」が15万円未満の場合、予定納税の義務自体が発生しません。したがって、通知書も届かず、支払う必要もありません。確定申告の際にまとめて1年分を支払えばOKです。

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