格安税理士のメリット・デメリット|「安かろう悪かろう」を避けるための注意点

「月額顧問料1万円以下」「決算料5万円~」――。
インターネットで税理士を探していると、目を引くような「格安」の料金を提示する事務所が見つかります。特に、事業を始めたばかりで少しでもコストを抑えたい経営者にとって、こうした価格は非常に魅力的に映るかもしれません。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。「安い」ということ自体は、決して悪いことではありません。しかし、私が全国の税理士の先生方や、その顧問先の経営者の方々からお話を伺う中で、「安さだけで選んでしまい、後で後悔した」というケースが後を絶たないのも、また事実です。
この記事では、「格安税理士」が提供するサービスのメリットと、その価格の裏に潜む可能性のあるデメリットを、プロの視点から公平に解説します。そして、「安かろう悪かろう」を避け、あなたの会社にとって本当に価値のあるパートナーを見つけるための注意点をお伝えします。
目次
格安税理士の「メリット」と、それがフィットする人
まず、格安税理士の最大のメリットは、言うまでもなく「月々の固定費を圧倒的に抑えられる」ことです。特に、以下のような状況の方にとっては、合理的な選択肢となり得ます。
- 事業規模がまだ小さい
売上がそれほど多くなく、取引もシンプルな個人事業主や、設立したばかりの一人社長の会社。 - 自計化が進んでいる
freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトを使いこなし、日々の記帳をご自身で完璧に行える方。 - 求めるサービスが限定的
経営相談や節税提案は不要で、とにかく「年に一度の申告さえ、正しく行ってくれれば良い」と考えている方。
これらのケースでは、税理士の作業量が少ないため、格安の料金プランでも十分なサービスを受けられる可能性があります。
「安さ」の裏側にある、5つの潜在的なデメリット

一方で、価格が相場より著しく安い場合、その「安さ」を実現するために、サービスの何かが削られている可能性があります。契約前に必ず確認すべき、潜在的なデメリットを5つご紹介します。
1.コミュニケーションが限定的・レスポンスが遅い
これが最もよく聞かれる不満です。顧問料を抑えるため、相談はチャットやメールのみに限定され、電話での相談は別料金、というケースは珍しくありません。また、一人の担当者が非常に多くの顧客を抱えているため、質問への返信が数日後になることも。以前ご相談を受けた方の中には、「安さで選んだけれど、連絡はメールだけで返事が2週間後にしか来ない…」とお困りの方もいらっしゃいました。
2.サービス範囲が極めて狭い
月々の顧問料に含まれるのは、「会計データのチェック」のみで、節税相談や経営アドバイスはすべてオプション料金、という契約になっていることがあります。「それは契約範囲外です」と言われ、いざという時に頼れないのでは、パートナーとは言えません。税理士が提供すべき本来の業務とのバランスを見極める必要があります。
3.担当者が経験の浅いスタッフである可能性
コストを抑えるため、経験豊富な所長税理士ではなく、入社したばかりの若手職員や、パート・アルバイトが担当になることがあります。もちろん優秀な方もいますが、複雑な税務判断や、経営者の深い悩みに寄り添うことは難しいかもしれません。
4.積極的な節税提案が期待できない
税理士の大きな価値の一つは、あなたの会社の状況に合わせて、先回りして節税策を提案してくれることです。しかし、格安プランでは、受け身の姿勢で、聞かれたことに答えるだけの「作業代行」に終始しがちです。結果として、払う顧問料は安くても、納める税金が高くなってしまっては本末転倒です。
5.税務調査への対応力が未知数
税務調査の対応は、税理士の経験と交渉力が最も問われる場面です。日頃のコミュニケーションが希薄で、会社の状況を深く理解していない税理士に、いざという時に会社の盾となって税務署と渡り合ってもらうのは、難しいかもしれません。
プロの視点:「安かろう悪かろう」を避けるためのチェックリスト
もし、あなたが格安税理士を検討する場合でも、以下の点を契約前に必ず確認することで、「安かろう悪かろう」の失敗を避けることができます。
- サービス範囲の確認
見積書や契約書で、「顧問料に含まれる業務」と「別途料金がかかる業務」の範囲を徹底的に確認する。 - コミュニケーション手段の確認
電話や対面での相談は可能か、可能な場合は追加料金はいくらかを確認する。 - 担当者の確認
「もし契約した場合、当社の主担当はどなたになりますか?」と質問し、可能であればその担当者と直接話してみる。 - 節税提案へのスタンス確認
「先生の事務所では、どのような節税提案をしていただけますか?」と、具体的な提案力を探る質問をしてみる。
「格安税理士のメリット・デメリット」まとめ
- 格安税理士の最大のメリットは「コスト削減」だが、それはサービスが限定的であることの裏返しでもある。
- デメリットとして、コミュニケーション不足、サービス範囲の狭さ、提案力の欠如などが考えられる。
- 「安さ」だけで判断せず、契約前にサービス範囲や担当者を必ず確認することが、失敗を避ける鍵。
- 税理士費用は単なるコストではなく、会社の成長をサポートする「投資」という視点を持つことが重要。
税理士は、あなたの会社の数字に最も深く関与するパートナーです。その選択は、目先の費用だけでなく、将来の節税額、業務効率、そして経営者の精神的な安心感にまで影響を与えます。
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