税務調査で狙われやすい会社の特徴とは?数百の税理士から聞いた最新の傾向
「うちの会社は大丈夫だろうか…」「いつか税務調査が来るかもしれない」多くの経営者が、心のどこかで抱えている不安ではないでしょうか。ある日突然、税務署から電話がかかってくることを想像すると、冷静ではいられませんよね。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。税務調査の対象がどのように選ばれているか、その明確な基準は公表されていません。しかし、私は全国の数多くの税理士の先生方と直接お話をする中で、「こんな会社に調査が入りやすい」という共通の傾向があることを知っています。
この記事では、そうした現場のリアルな声に基づき、「税務調査で狙われやすい会社」の具体的な特徴を解説します。これは、いたずらに不安を煽るためではありません。相手の手の内を知り、日頃から備えておくことで、税務調査は決して怖いものではなくなるからです。
税務調査の対象はこうして選ばれている
まず大前提として、税務調査の対象は「ランダム」に選ばれているわけではありません。税務署は、国税総合管理システム(通称:KSKシステム)という巨大なデータベースを活用し、過去の申告データや様々な情報を分析して、調査対象を絞り込んでいます。
彼らの目的は、限られた人員で、効率的に申告漏れを発見し、追徴税額を徴収することです。つまり、「誤りが起きやすく、指導の効果が高い」と判断された会社が、優先的に選ばれる傾向にあります。
税務調査で狙われやすい会社7つの特徴
では、具体的にどのような会社が「誤りが起きやすい」と判断されがちなのでしょうか。数百人の税理士から聞いた、最新の傾向を7つの特徴としてまとめました。ご自身の会社に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
1.売上や利益が「急に」増減した会社
売上が急激に伸びた会社は、「一部の売上を除外していないか?」という視で見られがちです。逆に、利益が急に減少したり、赤字に転落したりした場合は、「架空の経費を計上していないか?」と疑われる原因になります。特に、黒字だった会社が突然赤字になると、その理由を詳しく確認したい、という調査官の心理が働きます。
2.「長年」税務調査が入っていない会社
一般的に、税務調査は数年に一度のサイクルで回っていると言われます。設立から一度も調査を受けていない、あるいは前回の調査から5年以上経過している会社は、単純に「そろそろ順番」という理由で選定される確率が高まります。
3.「現金商売」や「無借金経営」の会社
飲食店、美容室、小売店といった現金でのやり取りが多い業種は、売上の記録が追いづらく、申告漏れが発生しやすいと見なされています。また、銀行からの借入がなく、自己資本が潤沢な「無借金経営」の会社は、「もし追徴税額が発生しても、支払う能力がある」と判断され、調査対象に選ばれやすい傾向があります。
4.消費税の「還付申告」をしている会社
輸出業や大規模な設備投資を行った場合など、支払った消費税が受け取った消費税を上回ると、差額の還付を求める「還付申告」ができます。これは、国にお金を返してもらう手続きなので、税務署はその内容が本当に正しいか、非常に厳しくチェックします。そのため、還付申告は税務調査のきっかけになりやすい代表例です。
5.勘定科目に「異常な動き」がある会社
決算書の中で、「雑費」「交際費」「外注費」といった科目の金額が、前期に比べて不自然に増えていたり、売上規模に対して過大だったりすると、AIシステムが異常値として検知します。「実態のない経費が隠れているのでは?」と疑われる原因になります。
6.「同業他社」と比較して利益率が低い会社
税務署は、業種ごとの平均的な利益率データを保有しています。あなたの会社の利益率が、その業界平均と比べて著しく低い場合、「売上を少なく申告しているか、経費を多く計上しているのではないか」という疑念を持たれやすくなります。
7.「好景気な業種」や「メディアで話題の業種」
世の中の景気が良い業界や、新しいビジネスモデルでメディアに取り上げられているような業種には、税務署の関心も集まります。「利益が出ているはずだ」という前提で、重点的な調査対象となることがあります。
一番の税務調査対策は「日々の記帳」と「税理士との連携」
これらの特徴に当てはまったからといって、過度に恐れる必要はありません。一番の税務調査対策は、小手先のテクニックではなく、「誰に見られても恥ずかしからず、論理的に説明できる、きれいな会計帳簿」を作成することに尽きます。
日々の取引を正確に記帳し、なぜこの経費が必要だったのかを説明できるようにしておく。この当たり前の積み重ねが、何よりの防御になります。
そして、その防御をより強固なものにしてくれるのが、信頼できる税理士の存在です。顧問税理士は、日頃からあなたの会社の数字をチェックし、異常があれば指摘してくれます。そして、万が一調査の連絡が来た際には、あなたの「盾」となり、専門家として税務署と対等に交渉してくれます。
「税務調査で狙われやすい会社」まとめ
- 税務調査はランダムではなく、データ分析に基づいて効率的に選ばれている。
- 売上や利益の急増や赤字転落は、調査のきっかけになりやすい。
- 現金商売の会社や、長年調査が入っていない会社も対象に選ばれやすい。
- 消費税の還付申告や、勘定科目の異常値もAIがチェックしている。
- 最高の調査対策は、日々の正確な記帳と、信頼できる税理士との連携。
税務調査で指摘されることの多くは、意図的な不正ではなく、知識不足による単純なミスや解釈の違いです。日頃から専門家である税理士とコミュニケーションを取り、健全な経理体制を築いておくことが、社長が本業に集中し、安心して経営を行うための最善策です。
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