開業届と青色申告承認申請書の書き方|提出のタイミングと注意点

個人事業主としての一歩を踏み出すと決意したあなた、誠におめでとうございます。希望に胸を膨らませる一方で、「手続きが難しそう…」という不安もありませんか?その最初の行政手続きが、「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出です。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。この2つの書類は、あなたが事業主になったことを公的に宣言し、そして、これから大きな節税メリットを受けるための「パスポート」となる、非常に重要なものです。
この記事では、あなたが迷わず、そして損をしないために、この2つの書類の書き方を、項目一つひとつ、どこよりも分かりやすく解説します。この記事を横に置いて、一緒に書き進めていきましょう。
目次
なぜこの2枚の書類が「最強のセット」なのか?
まず、なぜこの2つの書類を一緒に提出すべきなのかをご説明します。
- 開業届
あなたが「個人事業主」として事業を開始したことを、税務署に知らせるための公式な届出です。 - 青色申告承認申請書
「私は、節税メリットが大きい青色申告で確定申告を行います」と、税務署に宣言するための申請書です。
この2つを開業後すぐにセットで提出することで、「事業のスタート」と「最大の節税メリットを受ける権利」を、同時に、かつ漏れなく確保できるのです。
【記入例つき】開業届の書き方、項目別徹底ガイド
まずは「開業届」から始めましょう。
- 納税地
原則として、あなたの「住民票がある住所」を記入します。店舗や事務所の住所ではないので注意しましょう。 - 氏名・生年月日・マイナンバー
ご自身の情報を正確に記入します。 - 職業
できるだけ具体的に書きましょう。「コンサルタント」よりは「ITコンサルタント」、「デザイナー」よりは「Webデザイナー」のように書くと、事業内容が伝わりやすくなります。 - 屋号
あなたのお店の名前や事業名です。必須ではありませんが、屋号付きの銀行口座を開設する際に必要となるため、決まっていれば記入することをおすすめします。 - 届出の区分
「開業」にチェックを入れます。 - 所得の種類
「事業(農業)所得」の「事業所得」にチェックを入れます。 - 開業日
自由に設定できますが、一般的には店舗のオープン日や、事業用のウェブサイトを公開した日などを記入します。この日から経費の計上が可能になります。 - 事業の概要
「職業」で書いた内容を、もう少し詳しく説明します。「Webサイトのデザイン、制作、保守管理」のように、誰が読んでも分かるように書きましょう。 - 給与等の支払の状況
家族や従業員に給与を支払う場合に記入します。一人で始める場合は、空欄で問題ありません。
【記入例つき】青色申告承認申請書の書き方、最重要ポイント

次に、節税の鍵となる「青色申告承認申請書」です。
- 納税地・氏名など
開業届と同じ内容を記入します。 - 所得の種類
「事業所得」にチェックを入れます。 - これまで青色申告の承認を受けていましたか?
初めての場合は「無」にチェック。 - 本年中の事業開始年月日
開業届に書いた「開業日」と同じ日付を記入します。 - 相続による事業承継の有無
該当しない場合は「無」にチェック。 - その他参考事項
- 簿記方式:【最重要ポイント】ここで必ず「複式簿記」にチェックを入れてください。これにチェックを入れないと、最大のメリットである65万円控除が受けられません。
- 備付帳簿名:複式簿記に必要な帳簿にチェックを入れます。「総勘定元帳」「仕訳帳」は必須です。その他、「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費明細帳」「固定資産台帳」にチェックを入れておけば万全です。クラウド会計ソフトを使えば、これらは自動で作成されます。
提出のタイミングと注意点

書類が書けたら、いよいよ提出です。期限は厳守しましょう。
- 提出先
あなたの納税地を管轄する「税務署」です。 - 提出期限
・開業届:事業を開始した日から1ヶ月以内
・青色申告承認申請書:事業を開始した日から2ヶ月以内 - プロの視点
期限が異なるため、忘れてしまうリスクがあります。私の経験上、開業したらすぐに2枚の書類を同時に書いて、一緒に税務署に提出してしまうのが、最も確実で賢い方法です。提出する際は、必ず控え(コピー)を取り、税務署の受付印をもらって保管しておきましょう。これが、あなたが事業主であることの公的な証明になります。
「開業届と青色申告承認申請書」まとめ
- 個人事業主として開業したら、「開業届」と「青色申告承認申請書」をセットで提出する。
- 開業届の「職業」や「事業の概要」は、具体的に分かりやすく記入する。
- 青色申告承認申請書では、必ず「複式簿記」にチェックを入れることが、65万円控除の必須条件。
- 提出期限は、開業から開業届が1ヶ月、青色申告が2ヶ月。忘れないよう、開業後すぐに同時に提出するのがベスト。
この2枚の書類は、あなたの事業主として輝かしいキャリアの、まさに第一歩です。この記事を参考に、自信を持って手続きを完了させてください。もし、どうしても不安な場合や、最初の設定を完璧にしておきたい場合は、税理士に依頼するのも賢明な選択です。
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