株式会社と合同会社、どっちを選ぶ?設立費用・税金・信用の違いを比較

「設立費用が安いから合同会社が良いと聞いた」「でも、やっぱり株式会社の方が信用されそう…」
それぞれのメリット・デメリットが囁かれる中で、一体どちらが自分のビジネスにとって最適なのか、判断に迷ってしまいますよね。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。この最初の選択は、設立時のコストだけでなく、将来の資金調達、採用活動、そして事業の意思決定のあり方まで、あなたの会社の未来を大きく左右する、非常に重要な経営判断です。
この記事では、あなたが後悔のない選択をするために、「株式会社」と「合同会社」の決定的な違いを、設立費用・税金・社会的信用といった様々な角度から徹底的に比較・解説します。
結論あなたの事業計画に合わせた選択肢診断
まず最初に、あなたの事業の方向性から、どちらの会社形態が向いているか、簡単な診断をしてみましょう。
- 質問1:外部からの資金調達(出資)を考えていますか?
A:はい、将来的にベンチャーキャピタルなどからの出資を受け、大きく成長したいです。
B:いいえ、自己資金や融資が中心で、外部の株主を入れる予定はありません。 - 質問2:BtoB取引や、優秀な人材の採用を重視しますか?
A:はい、大企業との取引や、会社の「看板」で良い人材を集めたいです。
B:いいえ、主な顧客は一般消費者(BtoC)で、少人数での運営を考えています。 - 質問3:迅速な意思決定と、自由な経営を望みますか?
A:いいえ、株主総会など、正式な手続きに則った堅実な経営がしたいです。
B:はい、面倒な手続きは省き、スピーディーに経営判断を下したいです。
【診断結果】
・Aが多いあなたは「株式会社」がおすすめです。
・Bが多いあなたは「合同会社」が非常にフィットする可能性が高いです。
なぜこのような診断になるのか、次の章から詳しく見ていきましょう。
【徹底比較】株式会社 vs 合同会社 5つの違い

1.設立費用の違い
最も分かりやすい違いが、設立時に必ずかかる法定費用です。
・株式会社:約20万円~
・合同会社:約6万円~
合同会社は、定款の認証が不要で、登録免許税も安いため、初期費用を約14万円以上も抑えることができます。これは、創業期の経営者にとって非常に大きなメリットです。
2.税金面での違い
意外に思われるかもしれませんが、法人にかかる税金(法人税、法人住民税、法人事業税など)の種類や税率は、株式会社と合同会社で全く同じです。節税のしやすさという点では、両者に有利・不利はありません。ただし、役員への利益の配分方法などに違いがあり、その点は定款で自由に設計できる合同会社の方が柔軟性が高いと言えます。
3.社会的信用の違い
一般的に、社会的信用度が高いのは圧倒的に「株式会社」です。歴史が長く、知名度も高いため、金融機関からの融資、大企業との取引、そして人材採用の場面で有利に働くことが多いのが実情です。一方、合同会社は比較的新しい形態のため、まだ認知度が低く、「何の会社?」と疑問に思われることもあります。BtoCビジネスや、特定の取引先との関係性が重要なビジネスであれば問題ありませんが、会社の看板を重視するなら株式会社に軍配が上がります。
4.資金調達方法の違い
これは決定的な違いです。株式会社は、株式を発行して外部の投資家から出資を募ることができます。ベンチャーキャピタルなどから大規模な資金調達を目指すのであれば、株式会社以外の選択肢はありません。一方、合同会社の出資者は「社員」と呼ばれ、その権利は「持分」となります。株式のように自由に譲渡することが難しく、外部からの大規模な出資には向いていません。
5.意思決定と運営の柔軟性
株式会社は、会社法で定められた通り、所有と経営が分離しており、最高意思決定機関は「株主総会」です。重要な決定には、法に則った手続きが必要となります。対して合同会社は、出資者=経営者であり、原則として「総社員の同意」でスピーディーな意思決定が可能です。また、利益の配分も、出資額に関わらず自由に決められるなど、運営の自由度が非常に高いのが特徴です。詳細な株式会社と合同会社の比較も参考にしてください。
プロの視点「合同会社で始めて、株式会社へ変更」も有効な戦略
「信用も欲しいけど、費用も抑えたい…」そんなジレンマを抱える方には、「まずは合同会社でスピーディーに事業を始め、事業が軌道に乗った段階で株式会社へ組織変更する」という戦略も非常に有効です。組織変更には費用と手間がかかりますが、将来の選択肢として知っておくと、経営判断の幅が広がります。
「株式会社 vs 合同会社」まとめ
- 株式会社が向いている人
外部からの資金調達を考えている、社会的信用を重視する、将来の上場(IPO)を目指す人。 - 合同会社が向いている人
とにかく設立費用を抑えたい、BtoCビジネスが中心、迅速で自由な経営がしたい人。 - 税金面での有利・不利は、基本的にはない。
- 判断に迷ったら、合同会社で始めて、後から株式会社に変更する道もある。
どちらの形態が優れている、というわけではありません。あなたのビジネスモデルと、将来のビジョンに、どちらがよりフィットしているかを見極めることが最も重要です。
会社の形態選びは、後から変更するのが難しい、最初の重要な経営判断です。もし迷ったら、設立手続きを依頼する前に、税理士などの専門家に相談し、自分の事業計画に合ったアドバイスをもらうことをお勧めします。
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