税理士の変更、どう進める?トラブルなくスムーズに引き継ぐ手順とスマートな断り方

「今の税理士、なんだか相談しにくいな…」「レスポンスが遅くて、経営のスピードについていけない」「もっと節税の提案をしてほしいのに…」
顧問税理士と契約している経営者の中には、このような不満を抱えながらも、「一度契約したから仕方ない」「関係が悪化するのが怖くて、言い出せない」と、我慢してしまっている方が少なくありません。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。税理士は、あなたの会社の最も重要な情報に触れる、特別なパートナーです。そのパートナーとの間に信頼関係がなければ、事業の成長にブレーキがかかってしまうことさえあります。税理士の変更は、決してネガティブなことではなく、あなたの会社を次のステージへ進めるための、前向きな経営判断なのです。
この記事では、あなたが円満に、そしてスムーズに新しいパートナーを見つけられるよう、税理士を変更するための具体的な手順から、トラブルを避けるための「スマートな断り方」まで、プロの視点で詳しく解説します。
税理士を変更する、その前に。本当に「変更」が最善の策か?
まず、変更手続きに入る前に、一度立ち止まって考えてみましょう。あなたが抱えている不満は、本当に税理士を変更しなければ解決しない問題でしょうか。
例えば、「もっと頻繁に経営相談に乗ってほしい」という不満は、現在の顧問契約の範囲外である可能性もあります。まずは、勇気を出して現在の税理士にあなたの不満や要望を伝えてみましょう。「今の契約内容では難しいですが、月額料金を〇円追加していただければ、毎月の経営会議にも出席できますよ」といった、解決策が提示されるかもしれません。
コミュニケーションによって関係が改善される可能性もゼロではありません。それでもなお、不満が解消されない、あるいは相性の悪い、あるいは能力の低い税理士(良い税理士の見分け方はこちらの記事で解説)だと判断した場合に、初めて「変更」という選択肢を具体的に進めるべきです。
新しい税理士で何が変わる?変更によって得られる「未来」
税理士を変更することは、単に担当者が変わるだけではありません。新しい専門家との出会いは、あなたの会社に大きな変化と成長をもたらす可能性があります。
- クラウド会計導入による業務効率化
もし、あなたがまだ紙ベースでの経理を行っているなら、クラウド会計に強い税理士に変更することで、世界は一変します。リアルタイムで業績を把握でき、請求書発行や経費精算の手間が劇的に削減され、経営のスピードが格段に向上します。 - 「未来会計(経営計画)」による目標達成
過去の数字を整理するだけでなく、未来の目標達成をサポートしてくれる税理士もいます。経営計画を共に策定し、「目標達成のためには、あとどれくらいの売上が必要か」「そのためには、どんなアクションを取るべきか」といった、具体的な道筋を照らしてくれるのです。 - 融資や補助金獲得の可能性
資金調達に強いネットワークを持つ税理士に変更することで、これまで諦めていた融資や補助金の獲得チャンスが生まれることもあります。
今の税理士に不満があるなら、それは「もっと会社を良くしたい」というあなたの成長意欲の表れです。変更によって、こうした新しい可能性が拓けることを知っておきましょう。
5ステップで解説トラブルなく税理士を変更する手順

変更を決意したら、以下の5つのステップに沿って進めることで、トラブルを最小限に抑え、スムーズな引き継ぎが可能になります。
ステップ1.新しい税理士を探し、仮契約(内定)を結ぶ
これが最も重要な最初のステップです。現在の税理士に解約を伝える「前」に、必ず次の依頼先を見つけておきましょう。申告期限が迫る中で、税理士がいない「空白期間」が生まれるのが最も危険だからです。新しい税理士候補には、「現在、別の税理士と契約中だが、変更を検討している」という状況を正直に伝え、無料相談などを活用して(無料相談の活用法はこちら)相性を確認し、「もし現在の契約が円満に解消されたら、お願いします」という形で、仮の約束を取り付けます。
ステップ2.現在の税理士との「契約書」を確認する
次に、現在の税理士と交わした顧問契約書を改めて確認します。特にチェックすべきは「解約に関する条項」です。「解約を申し出るタイミング(例:解約希望月の2ヶ月前まで)」や「違約金の有無」などが記載されています。この内容を把握しておくことで、後のトラブルを避けられます。
ステップ3.現在の税理士に、解約の意思を伝える
新しい税理士が決まり、契約内容も確認したら、いよいよ現在の税理士に解約の意思を伝えます。伝え方は、電話でもメールでも構いませんが、感情的にならず、丁寧かつ明確に伝えることが重要です。具体的な「断り方」については、次の章で詳しく解説します。
ステップ4.資料の返却と引き継ぎを依頼する
解約の意思を伝えたら、あなたの会社に関する資料を返却してもらう必要があります。税理士には税理士法で定められた守秘義務と、資料の返還義務があります。
- 過去の決算書、申告書の控え
- 総勘定元帳などの会計データ
- 定款や登記簿謄本のコピー
- 税務署への各種届出書の控え など
これらの資料は、すべてあなたの会社の所有物です。速やかに返却を依頼しましょう。また、新しい税理士へのスムーズな引き継ぎのため、必要であれば新旧の税理士間で直接やり取りしてもらうようお願いするのも良い方法です。
ステップ5.新しい税理士と正式に顧問契約を結ぶ
すべての資料が手元に戻り、引き継ぎが完了したら、新しい税理士と正式に顧問契約を締結します。これで、税理士の変更は完了です。
プロが教える「スマートな断り方」の例文
解約を伝える際、最も避けたいのは感情的な対立です。たとえ不満があったとしても、これまでの感謝を伝えつつ、相手のせいにしない「スマートな断り方」を心がけましょう。
角が立ちにくい「断りの理由」例
- 「親族が税理士事務所を開業することになり、そちらに切り替えることになった」
- 「取引銀行から、融資の関係で提携している税理士に変更するようアドバイスされた」
- 「知人の会社と共同で経理システムを導入することになり、そちらで指定の税理士に一本化することになった」
メールでの伝え方 例文
件名:顧問契約終了のお願い(株式会社〇〇)
〇〇先生
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の小林です。
急なご連絡で大変恐縮ですが、この度、諸般の事情により、〇月末日をもちまして、先生との顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡いたしました。
これまで長年にわたり、当社の税務にご尽力いただき、心より感謝しております。
先生には大変お世話になり、苦渋の決断ではございますが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
つきましては、後日、資料の引き継ぎ等で改めてご相談させていただけますでしょうか。
まずは書中をもちまして、御礼かたがたお願い申し上げます。
「税理士の変更」まとめ
- 税理士の変更は、関係改善の努力をした後の、前向きな経営判断。
- 変更を決意したら、まず「新しい税理士」を見つけてから、現在の税理士に解約を伝えるのが鉄則。
- 解約を伝える前に、現在の契約書を確認し、解約条件を把握しておく。
- 解約を伝える際は、感情的にならず、これまでの感謝を伝えつつ、スマートな理由で切り出す。
- 新しい税理士へのスムーズな移行のため、資料の返却と引き継ぎをしっかり依頼する。
税理士の変更には、少なからずエネルギーが必要です。しかし、その一歩を踏み出すことで、あなたの会社は、より強力なサポートを得て、新たな成長ステージへと進むことができるはずです。
もし、現在の税理士への不満や、新しい税理士の選び方についてお悩みであれば、ぜひ一度私たちにご相談ください。当サイト「税理士コラボネット」が、あなたの会社の未来にとって最善のパートナー探しをサポートします。
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