【料金表あり】税理士費用の相場を徹底解説!顧問料・決算料はいくらが適正?

税理士を探し始める際に、ほとんどの方が最初にぶつかる壁が「料金の不透明さ」です。「一体いくらかかるのか分からない」「提示された金額が、高いのか安いのか判断できない」といった声は、非常によく耳にします。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。当サイトを運営する中で、私は全国の数多くの税理士事務所の料金体系を見てきました。また、私自身も経営者として費用を支払う側の気持ちもよく分かります。
この記事では、そんな私の経験と知見を基に、税理士費用の「相場」を料金表付きで徹底解説します。顧問契約の費用はもちろん、確定申告や相続といったケース別の相場まで網羅しました。この記事を読めば、あなたは税理士費用の構造を理解し、提示された見積もりが「適正価格」なのかを判断できるようになります。
目次
税理士費用の「基本構造」を3つのパターンで理解する
まず、税理士の料金が、主にどのような要素で構成されているのかを理解しましょう。税理士の業務は多岐にわたりますが、料金体系は大きく分けると以下の3つになります。
パターン1 顧問契約(月次顧問料+決算申告料)
最も一般的な契約形態です。法人の経営や、売上が安定してきた個人事業主が、継続的なサポートを受けるために結びます。
- 月次顧問料: 毎月、あるいは定期的に経営状況のチェックや税務相談に乗ってもらうための基本料金です。
- 決算申告料: 年に一度の決算書や法人税申告書を作成し、税務署へ提出してもらうための費用です。
パターン2 スポット契約(確定申告のみ、相続のみ等)
顧問契約を結ばず、「年に一度の確定申告だけ」「相続税の申告だけ」「税務調査の対応だけ」といったように、単発の業務を依頼する場合の費用です。必要な時に必要な分だけ依頼できるのが特徴です。
パターン3 オプション業務(記帳代行、給与計算等)
顧問契約やスポット契約に追加して依頼する業務です。代表的なものに以下の業務があり、これらを依頼すると基本料金に上乗せされます。
- 記帳代行: 日々の領収書の整理や会計ソフトへの入力を代行してもらう費用。
- 給与計算: 従業員の毎月の給与計算や明細発行を依頼する費用。
- 年末調整: 従業員の年末調整(源泉徴収票の作成など)を依頼する費用。
税理士がどのような業務を行えるかについては、日本税理士会連合会のサイトでも詳しく紹介されています。
料金表 パターン1:「顧問契約」の費用相場
事業の成長を継続的にサポートしてもらう「顧問契約」の費用は、「月額顧問料」と「決算申告料」の合計で考える必要があります。相場は事業規模(年間売上高)によって変動するのが一般的です。
法人の月額顧問料・決算料の相場(売上規模別)
法人の場合、個人事業主と比べて会計処理や税務申告が複雑になるため、費用は高くなる傾向があります。
| 年間売上 | 月額顧問料の目安 (記帳代行なし) |
決算申告料の目安 |
|---|---|---|
| ~1,000万円 | 2万円~3万円 | 12万円~18万円 |
| ~3,000万円 | 3万円~4万円 | 15万円~24万円 |
| ~5,000万円 | 4万円~5万円 | 16万円~30万円 |
| ~1億円 | 5万円~ | 20万円~ |
例えば、年間売上2,000万円の法人で、月額顧問料が3万円、決算料が18万円(顧問料の6ヶ月分)の場合、年間の税理士費用は「3万円×12ヶ月+18万円=54万円」が一つの目安となります。
個人事業主の月額顧問料・決算料の相場(売上規模別)
個人事業主の場合、売上が1,000万円を超えて消費税の課税事業者になるかどうかが、料金の大きな分岐点となります。
| 年間売上 | 月額顧問料の目安 (記帳代行なし) |
確定申告料の目安 |
|---|---|---|
| ~500万円 | 1万円~2万円 | 5万円~10万円 |
| ~1,000万円 | 2万円~3万円 | 8万円~15万円 |
| 1,000万円超 (課税事業者) |
2.5万円~4万円 | 10万円~20万円 |
一般的に、この顧問料には「定期的な面談(月1回や四半期に1回など)」「電話やメールでの税務相談」が含まれます。
料金表 パターン2:「スポット契約」の費用相場
顧問契約は結ばず、特定の業務だけを単発で依頼する場合の相場です。
個人事業主・フリーランスの「確定申告」の相場
「年に一度の申告だけをお願いしたい」というニーズは非常に多いです。料金は「記帳代行(丸投げ)を依頼するかどうか」で大きく変わります。
| 依頼内容 | 費用相場(年間) | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 記帳代行+申告書作成 (領収書などを丸投げ) |
10万円~20万円 | ・経理作業を一切したくない方 ・売上が高く取引が複雑な方 |
| 申告書作成のみ (会計ソフトの入力は自分で行う) |
5万円~15万円 | ・経理作業の時間は取れる方 ・費用の内訳や経営状況を把握したい方 |
売上が1,000万円を超え、消費税の申告が必要になると、上記に3万円~5万円程度が加算されるのが一般的です。「確定申告だけ」の依頼については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ 確定申告だけを税理士に依頼する場合の費用は?丸投げは可能?
「相続税申告」の費用相場(遺産総額別)
相続税の申告は非常に専門性が高く、税理士によって納税額に大きな差が出ることがあります。費用は「遺産総額」に連動するのが一般的です。
| 遺産総額 | 税理士費用の相場 |
|---|---|
| ~5,000万円 | 30万円~60万円 |
| ~1億円 | 50万円~100万円 |
| ~2億円 | 90万円~180万円 |
| ~3億円 | 150万円~250万円 |
これは、遺産総額の0.5%~1.0%が目安と言われることが多いです。ただし、土地の評価が複雑であったり、相続人の数が多い場合は追加料金がかかることがあります。相続税の税理士費用については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
▶ 相続税の税理士費用はいくら?料金相場と「見積もり」で確認すべきポイント
「税務調査」の立会費用の相場
税務調査の連絡が来た際に、調査の対応や税務署との交渉を依頼する費用です。
- 調査立会費用(日当): 1日あたり5万円~10万円
- 修正申告書作成費用: 10万円~
顧問契約を結んでいる場合は、日当が割引されたり、顧問料に含まれていたりするケースもありますが、スポットで税務調査対応だけを依頼すると高額になりがちです。
なぜ料金が違う?税理士費用を左右する5つの要因

料金表はあくまで目安です。同じ売上規模でも、実際の見積もり額が事務所によって異なるのはなぜでしょうか。価格を左右する主な要因は以下の5つです。
1. 記帳代行の有無(自計化しているか)
最も大きな要因の一つです。日々の領収書の整理や会計ソフトへの入力を、自社で行う(自計化)か、税理士に任せる(記帳代行)かで、料金は大きく変わります。記帳代行を依頼すると、月額1万円~の追加料金がかかるのが一般的です。
2. 訪問・面談の頻度(オンラインか対面か)
税理士に毎月訪問してもらうのか、四半期に一度なのか、あるいはZoomなどのオンラインでの面談が中心なのか。税理士が移動する時間的コスト(拘束時間)も費用に反映されるため、直接会う回数が多いほど料金は高くなります。
3. 事業規模と取引の複雑さ(売上、従業員数、業種)
売上や従業員数が大きいほど、取引量が増え、経理処理が複雑になるため、税理士の作業量も増え、料金は高くなります。また、飲食業(仕入れが複雑)、建設業(工事進行基準など)、輸出入(免税処理など)といった特殊な会計処理が必要な業種も、料金が上がる要因になります。
4. 税理士事務所の体制(所長対応か、スタッフ対応か)
経験豊富で高い知見を持つ所長税理士に直接担当してもらう場合と、若手の職員が担当する場合とでは、料金に差が出ることがあります。高品質なコンサルティングを求める場合は高めに、ルーティンワークの処理を求める場合は安めに設定されている傾向があります。
5. 特殊な事情(輸出入、複数拠点など)
輸出入などの国際取引がある、支店や営業所が複数ある、といった特殊な事情があれば、その分、業務が複雑になるため追加料金がかかる場合があります。
「顧問料0円」や「格安」の注意点

税理士を探していると、「月額〇〇円~」といった格安料金や、「顧問料0円」といった魅力的な広告を目にすることがあります。しかし、安易に飛びつくのは危険です。
「顧問料0円」は、決算料が非常に高額に設定されていたり、記帳代行や相談がすべて別料金だったりするケースがほとんどです。年間の総額で見ると、結局は相場と変わらないか、むしろ高くなることもあります。
また、極端な格安料金を提示する事務所は、一人の担当者が非常に多くの顧客を抱えているため、サービス品質が低い可能性があります。
「安さで選んだけれど、連絡はメールだけで返事が2週間後にしか来ない…」
「節税の相談をしても、一般的な回答しか返ってこない…」
これでは、何のために顧問契約を結んでいるのか分かりません。
税理士は、あなたの事業の根幹に関わる重要なパートナーです。提示された料金に「どのようなサービスが含まれているのか」をしっかり確認し、安さだけでなく、サービスの質や相性も考慮して総合的に判断しましょう。
▶ 格安税理士のメリット・デメリット 「安かろう悪かろう」を避けるための注意点
「税理士費用の相場」まとめ
- 費用の基本構造
料金は「顧問契約(月次+決算)」、「スポット契約(単発)」、「オプション」の3つで構成される。 - 顧問契約の相場
法人は月額3万円~、個人事業主は月額1万円~が目安。記帳代行なし・訪問頻度などで変動する。 - スポット契約の相場
確定申告のみは5万円~、相続税申告は遺産総額の0.5%~1.0%が目安。 - 価格変動の要因
記帳代行の有無、訪問頻度、事業規模、業種の複雑さで料金は変わる。 - 格安料金の注意点
「顧問料0円」などは、決算料が高額であったり、サービスが限定的であったりする可能性が高いため、年間の総額とサービス範囲の確認が必須。
税理士費用は、決して安い出費ではありません。しかし、優れた税理士は、支払う費用以上の「節税効果」や「経営改善のヒント」、「事業成長のサポート」、そして「安心」をもたらしてくれます。
ぜひこの記事を参考に、あなたにとって最適な、価値ある投資となる税理士を見つけてください。
「税理士費用」に関するよくある質問
はい、全額経費として計上できます。勘定科目は、一般的に「支払手数料」や「支払報酬料」を使用します。個人事業主の方も、法人の場合も同様に経費処理が可能です。
会計ソフトへの入力を自分で行う(自計化)場合は5万円~15万円、領収書の整理から丸投げ(記帳代行)する場合は10万円~20万円が相場です。売上が1,000万円を超え、消費税の申告も必要な場合は、さらに3万円~5万円程度が加算されます。
遺産総額の0.5%~1.0%が目安と言われています。例えば、遺産総額が5,000万円なら30万円~60万円、1億円なら50万円~100万円程度が相場です。ただし、土地の評価が複雑な場合や、相続人の数が多い場合は追加料金がかかることが一般的です。
はい、顧問料とは別途で発生するのが一般的です。相場は、税理士の日当として1日あたり5万円~10万円程度です。調査が2日間かかれば、その2日分が必要です。顧問契約を結んでいる場合、この日当が割引されることもあります。
注意が必要です。「格安」には理由があります。例えば、「相談はチャットのみで面談は一切ない」「担当者の経験が浅い」「決算料が相場の2倍に設定されている」など、サービス内容が限定的である可能性が高いです。契約前に「年間で総額いくらかかるのか」「顧問料に何の業務が含まれているか」を書面でしっかり確認しましょう。





