税務調査の連絡が来ても慌てない!プロが語る「社長がやるべき準備」と「税理士への頼み方」
ある日、会社の電話が鳴り、受話器の向こうから聞こえてくる「税務署の者ですが、税務調査の件で…」という言葉。この一言で冷静でいられる社長は、まずいないでしょう。「何か不正を疑われているのでは」「多額の税金を取られるかもしれない」と、様々な不安が頭をよぎるかもしれません。
こんにちは。「税理士コラボネット」の小林です。私自身も20年にわたり事務所を経営し、顧問先の税務調査に立ち会う税理士の先生方を数多く見てきました。社長がパニックになる気持ちは痛いほどわかります。
しかし、断言します。税務調査は、適切な準備と対応を知っていれば、決して怖いものではありません。
この記事では、突然の税務調査の連絡にどう対応すべきか、社長がやるべき準備と、あなたの会社を守る「盾」となる税理士への頼み方まで、プロの視点で具体的に解説します。
税務調査とは?まず全体像を理解する
まず、税務調査そのものを正しく理解しましょう。税務調査とは、提出された申告書の内容が正しいかどうかを、税務署が帳簿などの資料を確認しに来る手続きのことです。決して、犯罪捜査のように強制的に何かを押収していくものではありません。
一般的に、中小企業に入る調査は「任意調査」と呼ばれ、国税庁が示す手続きに沿って以下の流れで進みます。
- 事前通知
まず、税務署から顧問税理士(または会社)へ、調査に伺いたい旨の電話連絡が入ります。ここで調査日時や目的、必要な書類などが伝えられます。 - 日程調整
税理士が間に入り、会社の繁忙期などを考慮して、調査日程を調整します。 - 実地調査
調査官が会社に来て、帳簿や資料を確認します。通常は2日間程度で、社長や経理担当者への質問も行われます。 - 調査結果の報告
後日、調査官から税理士へ調査結果の連絡が入ります。問題点(是認できない点)があれば、その内容と理由が説明されます。 - 修正申告・納税
指摘事項に納得した場合は、修正申告書を提出し、追加の税金を納付します。
この流れを見てわかる通り、全てのプロセスにおいて「税理士」があなたと税務署の間に入る重要な役割を担います。
社長がやるべき準備連絡が来てから調査日までの3ステップ
税務署から連絡があったら、パニックにならず、以下の3つのステップを順番に実行してください。
ステップ1.すぐに顧問税理士に連絡する
これが最も重要です。税務署から直接連絡があった場合でも、「顧問税理士に確認して、折り返しさせます」と伝え、すぐに電話を切ってください。社長自身で日程調整をしたり、質問に答えたりしてはいけません。以降の税務署とのやり取りは、すべて税理士に任せるのが鉄則です。税理士がプロとして、あなたに不利にならないよう交渉・調整を行ってくれます。
ステップ2.税理士と連携して書類を準備する
税理士から、調査に必要な書類の指示があります。一般的には以下のようなものです。
- 総勘定元帳、仕訳帳などの会計帳簿(過去3期分が目安)
- 請求書、領収書、契約書などの綴り
- 株主総会や取締役会の議事録
- 従業員の給与台帳、源泉徴収簿
ここで大切なのは、「自分で判断して、余計な資料まで準備しない」ことです。税理士が必要だと判断したものを、指示通りに揃えるようにしましょう。
ステップ3.社内の整理整頓と関係者への説明
調査官が最初に会社に入ったときの印象も大切です。オフィスや社長室、経理書類の保管場所などは、整理整頓を心がけましょう。また、経理担当者には、調査が入る旨を伝え、「質問には社長か税理士が答えるので、自分から余計なことは話さないように」と説明しておきます。当日の対応窓口を一本化しておくことが重要です。
プロの視点税理士への「頼み方」で調査の結果は変わる
税務調査を乗り切る鍵は、顧問税理士との連携にあります。あなたの「頼み方」ひとつで、税理士が100%の力を発揮できるかどうかが決まります。
1.すべてを正直に話す
もし、経理処理に少しでも不安な点や、「これはマズいかもしれない」と思う取引があれば、必ず事前に税理士に話してください。プロの税理士は、不利な事実も含めて全てを把握した上で、最高の防御策を考えます。社長が隠し事をすることが、最も危険な行為です。
2.「お任せします」と丸投げしない
「あとは先生、よしなに」と全てを任せきりにするのは間違いです。税理士は税務のプロですが、あなたのビジネスのプロではありません。「なぜこの経費がかかったのか」「この取引はどういう経緯だったのか」といった具体的な説明は、社長にしかできません。税理士と二人三脚で臨む、という意識を持ちましょう。
3.調査当日は「盾」になってもらう
実地調査の場で、調査官から直接質問されても、すぐに答える必要はありません。少しでも迷ったら、「税理士に確認します」と伝え、税理士に回答を委ねましょう。これが「税理士に盾になってもらう」ということです。税理士は、質問の意図を汲み取り、論点を整理し、あなたに不利にならない形で回答してくれます。
顧問税理士がいない場合はどうする?
日頃から付き合いのある税理士がいない場合に、税務調査の連絡が来るケースもあります。その場合は、一刻も早く「税務調査の対応経験が豊富な税理士」を探してください。
税理士の中には、税務調査の対応を専門的に扱っている事務所もあります。調査の連絡があった後からでも、スポットで依頼することは十分に可能です。決して、一人で対応しようとしないでください。
「税務調査の連絡が来たときの対応」まとめ
- 税務調査の連絡が来たら、慌てずに、まず顧問税理士に電話する。
- 税務署との直接のやり取りは避け、すべて税理士を窓口にする。
- 税理士と連携し、指示された書類を準備。余計なものは出さない。
- 税理士には不利なことも含め、すべてを正直に話すことが最善の策。
- 調査当日は、税理士に「盾」になってもらい、安易な発言は避ける。
税務調査は、いわば会社の「健康診断」のようなものです。そして、顧問税理士は、あなたと共にその診断に臨んでくれる、最も頼りになる主治医です。日頃から信頼関係を築き、いざという時に会社を全力で守ってもらえる、そんなパートナーを見つけておくことが、経営者にとって最高のリスク管理と言えるでしょう。
当サイト「税理士コラボネット」では、私、小林が直接お話を伺い、税務調査の対応経験が豊富な、信頼できる先生方をご紹介しています。顧問税理士をお探しの方も、緊急で対応してくれる税理士をお探しの方も、ぜひ一度ご相談ください。
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